ナギの整理箱

日々考えたことを書きます。

意識が高いこと

久しぶりに、母と真面目に仕事の話をした。

兄妹の仕事の状況から始まり、私の近況についても報告した。

 

母からのコメント。

「あなたは大学時代、意識高くいろんなことを考えて企画して実行していたじゃない。そういうふうに自由な自分の提案を受け止めてくれるところがいいんじゃない。今の会社に勤めてから、腐ったようになってしまったと思うよ。」

 

そんなことを言われて、自分自身のことをいろいろ振り返ってみた。

 

確かに大学時代の私は意識が高かった。

なんでだろう。何者かになりたかったような、何かを成し遂げたかったような、若さゆえのそんな気持ちが渦巻いていたのだと思う。

勉強会に積極的に参加して、留学にも行って、自分で企画した勉強会を開いたこともあった。セミナーでは毎回手を挙げて発表しまくるのでみんなに顔を認識されたりもした。

でも、大学4年間を終えて振り返ったときに、私は何者にもなれなかったし、何も成し遂げられていなかった。それどころか、将来はますます分からなくなり、就職もできず、卒論の出来も最悪だった。アカデミックな世界にトラウマができるくらい厳しい指摘をたくさんされた。

あの時私は、意識が高い自分を手放した。意識だけ高くたって、何にも物に出来てないなら意味ないじゃないかと思った。自分のことを意識高い系クズだと思った。どうせクズなら、身の丈に合わない中途半端な意識の高さなんてないほうがいい。楽に生きよう。そう思っていた。

今の就職先は、そういう気分で決めたところだった。一応建前として意識が高そうな志望理由は作ったけど、正直楽したいという気持ちだった。

 

そんな気持ちで入った会社だったけど、入社直後の私は何故かまた意識が高くなり、燃えていた。会社を良くしよう、地域を良くしようと気持ちが昂り、またもや研修ではグループのリーダーを積極的に務めたり、研修の課題のために土日にいろんなところに出向いた。

でもそういうことが素直に伝わるような会社ではなかった。煩雑な事務作業を楽にしようといろいろ考えたりもしたけど、そもそも根本から変えるには関連会社も関わる大掛かりな内容になってしまったり、部署のおじさんおばさんたちはずっと同じルーティンワークに慣れきってしまっていたので、変えたくなさそうだった。

2年目のとき、初めて転職サイトに登録して、転職をしようと試みた。どんな職種が向いているのか分からなかったけど、手当たり次第挑戦した。今思えばこの時が1番パワーに溢れていて、平日バリバリ働いて、土日に勉強したり書類を作成したりしていた。

でも、自分がしっくりする条件で、やりたい、やれるかもと思える職種には出会えなかった。結局そのまま私は本社へ部署移動となり、深夜労働と本社特有のピリピリした雰囲気に飲まれ、親族の借金騒動も重なり、うつ病になった。

 

うつ病になってからの私は、母親の言う通り、腐りに腐っていた。

一度復職した時には、部署の雑用をひたすらやらされた。過去の私なら絶対嫌がりそうな職務内容だったけど、どんなくだらない雑用でも喜んで一生懸命取り組んだ。Excelシートでのコピー&ペーストをひたすら繰り返す作業。ドッジファイルに綴じられた大量の書類をひたすら破棄する作業。アルバイトの人と同じ仕事内容になったこともあった。心は無になっていたけど、全部一生懸命取り組んでいた。

この時の私は自己肯定感が死んでいたこともあって、私にはこれくらいがお似合いだと思っていた。

 

結局その後正社員らしく担当事業を任せられたりもしたけど、また休職してしまった。1回目の時よりもあっという間にキャパオーバーになってしまったのだ。休職直前、大量に届くチャットやメールを読むことができなくなり、意欲は消え失せ、何も出来なくなってしまった。

 

この時も当然落ち込んだし、もう私はダメなんだと何度も思った。

 

そこから1年半ほどの休養期間に、いろんなことを考えた。

心から好きだと思えることをやれる環境がいいのかな、とか。派遣とかで転々としながら合う仕事を探せばいいのかな、とか。

もう正社員はやりたくない、私の身の丈には合わない、私はクズだと何度も思った。

 

最近もまた、障害者雇用で就職するための勉強会を細々とやっているけど、その中で言われた言葉がある。

「ナギさんって、仕事できるんですか?」と。

この時私は、思ったのだ。

若い時の私は、意識だけ高まってしまって、目の前のことに誠実に向き合えてなかったんじゃないかな、と。

何かを成し遂げるなら、まずは目の前の仕事にとにかく誠実に向き合って、それを物にしてからがスタートなんじゃないかな、と思ったのである。

 

考えてみれば当たり前のことで、気づくのが遅すぎたのである。

 

こうして、少しずつ体調が回復してきた今の私の意識はどうなっているかと言うと、20代前半の若かった頃に比べると、身の丈に合ったちょうど良い高さに安定してきたのではないかと思っている。

私はクズだ、何の能力もない。今からできることなんてたかが知れてる。でも、こんな私でも出来る範囲で頑張って、小さなことをひとつでも成し遂げられたら、それでいいかなと思っている。

本当に小さいことでいいと思う。あまり大きなことでなくていい。

 

そもそも、もう1年以上も休んでしまって、社会不適合極まった私が、ここから復活して生き生き働くだけでも、誰かの希望になるのであれば。

 

ほどよい高さに落ち着いてきた私の意識の高さが、上手く合致する環境を掴み取れたらいいな、と思ってる。

 

今日はこんなところで。